現在日本には中学校が10,484校、高等学校が6,746校あるようですが、それだけの数の学校があれば当然教育方針も似たようなものが多くなりますよね。
例えば「グローバル教育」。このコンセプトはもともと、ベトナム戦争で実質的に敗北したアメリカがそれまでの「アメリカ中心主義」を見直して「国際社会全体」の教育を考えよう、と言い出した運動にルーツを持っているみたいです。
現在では日本でも、スーパーグローバルハイスクール等、国をあげた政策になっていますね。それに実際多くの中学高校で、「グローバル教育」が学校の重要なアピールポイントとして扱われています。
さてそんな中で日本の学校ではないのですが、かなり面白い、「うちこそ真のグローバル教育を提供している!!」と自負する学校がありましたので紹介します。
それが、「Class Afloat(http://www.classafloat.com/)」です。カナダのかなり有名な高校で、1年のカリキュラムのうち、半年を陸上の学校で、半年を海上の学校(船)で過ごすそうです。ちなみに上の写真が実際の船の航海ルートらしいです。
移動教室という言葉の本来の意味に最もそっているような気がしますね。カリキュラムとしては、とにかくリアルな体験を重視している内容のようで(航海までしてるので当たり前ですが)、座学で学んだことを実際に現場に行き触って自身で体感することで理解を深めよう、というコンセプトみたいです。
例えば、その国や地域の歴史的文化的背景の理解が必要な貧困などの問題は、自分で現状を見ることでよりその問題に対して主体的に考えるようになる、といった感じです。
もしこういったカリキュラムがグローバル教育として考えられるならば、例えば僕の地元宮古島にある宮古総合実業高校(http://www.miyasou-h.open.ed.jp/)海洋科学科の海洋実習もある意味グローバル教育かもしれないなと思いました。フィリピンなどで寄港するらしいので(稀に海賊が出るらしいです)。まあ本来の目的が明確に違っているので単純に比較はできませんが。
しかしよく考えてみれば日本は島国で四方を海で囲まれていて、そもそも他国人との接触が常に海を挟んでのことなのでどうしても体感的な距離が遠いですよね。グローバルグローバルといってもそもそも外国人を隣人のように感じることは難しいです。
ならもし船で隣国である、韓国、中国、台湾、ロシア、フィリピン、ベトナム、香港などを周りつつ授業を受けることができたら、より現実的なグローバル意識(隣人意識)を養うことができるかもしれませんね。
ちなみに「Class Afloat」ですが、カナダ国内からだけではなく全世界から生徒を募集しているらしいので、もし興味がある方は進学を検討されてもいいかもしれません。日本ではこのような試みは現実的に考えてなかなか行われないでしょうから。
作者:兼子仁志
編集部