中学校受験を考えた時、まず、国立、公立、私立の違いは誰しも思いつくところですね。実際問題として、国立、公立は難易度が高く、私立は間口が広いため、偏差値から選択肢が限られてくる場合もあるでしょう。
実は、学力レベルの差以上に、私学とは大きな違いがあることを受験前に知っておくことが肝要です。
国立大学付属中学校の特異な点を挙げてみましょう。
まず、学費が安いこと。大概どこも年間で10万円台程度。ただし、学校独自の後援会があり、教育支援をするために寄附金を募るところもありますが、それでも双方を合算して50万には程遠い年間コストです。
私学は年間で50万を切るところはあまりないので、国立は半額以下と考えていいでしょう。
次の特色は、私学が”いかに大学合格実績を上げるか”を目的とし(一部大学付属校を除く)、1学年先の内容を教える先取り授業や、特徴的なカリキュラムを組んでいるのに対し、あくまでも公立であるため、学習指導要領に準拠したスピードと教科書を使用します。私学では、例えば独自の教材を使用したり、英語だけ時間数を増やすなどの工夫をしていますが、国立では進度については決められた枠を外れることはありません。ただし、”深度”は相当に深堀りすることも多く、音楽であれば、三味線やバイオリンの講義があったり、技術家庭では学校の畑で苗を植えたりなど、学びを深めるというベクトルについては、大学付属ならではの公立では味わえない豊かな内容です。
そして、3つ目は、保護者が学校へ協力することが、義務レベルとして認識されていること。PTAの係など、在学中に協力することは、暗黙の了解として成立しています。仕事を持っているいないにかかわらず、必ずご奉仕する機会がやってくるのです。
つまり国立附属中学は、学費が安く、学習進度は公立レベルであるが、深度は深く、いわゆる学ぶ楽しさを追求するようなカリキュラム。従って、学校の授業で物足りないとか、あるいは高校受験を目指す場合など、受験勉強や発展した学習は自分で開拓し進めるという意識を持たなくてはなりません。学費に塾の費用をプラスしたものが、平均的私学への学納金と同じであることが、そのことを端的に表しているでしょう。
作者:Celine
大学1年生、浪人生、国立中学生の3人の母。某大手中学受験塾にて講師、普段は秘書職